2008年08月27日

還暦前

懐かしい本に巡り合った。「あとがき」に記された日付は、昭和24年7月。出版してから59年も経つ。
茶色に変色した頁は、強くめくるとパリパリ破れそう。持ち帰るまでに、背表紙は外れてしまっていた。


…家を改造するので、荷物を処分している。本も沢山あるから好みのを持って行って良い。…
と聞いて見に行き、児童書や辞書を少しばかり頂いてきた。

昔、この「日本童話名作集」は読んではいないが、同じ出版社の「世界・・」は手元にあったと思う。
繰り返し読んだお話も勿論だけど、その不思議な抽象的な挿絵に魅かれて印象に残っている。
昔の児童書は、ペン画や版画のハイセンスな挿絵が多かった。子供の目線に降りて来ない、
大人のセンスを保っていたと思う。子供心に「よく分からないけど・・魅力的だなぁ。」と感じていた。
今のはカラフルで美しいけれど、何だか物足りない気がする。
  


Posted by のりちゃん at 23:51Comments(2)

2008年08月27日

しゃばけ

今読んでいる本が面白い。「しゃばけ」=「娑婆気」=「俗世間の欲望にとらわれる心」

お江戸の大店、回船問屋長崎屋の、病弱な一人息子が主人公。
ある事件に巻き込まれて展開していく筋書きに、江戸の生活や街並を背景にして、
17歳の若者の心情や、世間の動きも織り込まれて、色とりどりの景色を見せている。

彼の周りには、あまたの妖怪があたり前のように生活している。
犬神・白沢・鳴家(やなり)・ふらり火・野寺坊・獺(かわうそ)・・・
付喪神(つくもがみ)=100年経つと物は神になるらしく、人の体でいる。
「鈴」の鈴彦神・「屏風」の屏風覗き・・皆生き々と存在感がある。

ストーリーは「若だんな」のおっとりした口調で語られていて、
先の顛末を知りたいのにもどかしいくらい。
だからか、なかなか本から離れられないでいる。

畠中恵さん、大した作品を、ごちそう様です。  


Posted by のりちゃん at 00:59Comments(4)